一般に、妊娠した女性が連続して3回以上流産を繰り返すことを習慣性流産と呼び、流産を繰り返す何らかの因子(流産因子)を有していると考えられています。 調査の結果、下記*表1に示すとおり、既往の自然流産回数が増加するにつれて、その後の妊娠の流産率が増える傾向にありました。(妊娠8週未満の流産を対象) したがって、こうした妊婦では何らかの流産因子を有する頻度が高くなっていると考えられます。
次に、これをもとに既往自然流産回数別の流産率と流産因子保有群の頻度を調査したところ、下記*表2のようになりました。このように、自然流産を3回以上連続した女性では流産率が5割をを超え、流産因子保有者も8割を越えることから習慣性流産として診断し、治療するのが妥当と考えられます。
習慣性流産の原因はひとつではありません。しかし何によって引き起こされるかを調べ、それに合った治療が必要です。
母体側因子
胎児側因子
夫婦・母児関連因子
その他
原因のはっきり分かる場合については、手術や薬などそれに応じた治療を行います。しかし、一番多い原発性初期習慣性流産については原因のわからない場合が多く、その治療方針をどうするかが問題となります。
流産回数が2回の場合は、偶然の流産を繰り返しているものが6割を占めていることから、原因が分からないというより、原因が無い可能性が多ので、すぐに治療することは慎重に考えなくてはなりません。一方、流産回数が3回以上の場合は流産因子を保有しているものが8割を占めることから、すぐに治療を始める方向で考えます。
原因不明の原発性初期習慣性流産(既往妊娠が初期流産のみ)の主な部分は免疫学的習慣性流産と考え、免疫療法を行っていきます。
免疫療法は、患者の夫抗原に対する拒絶反応を抑制することにより、胎児を母体の拒絶反応から守って流産を防ごうとする方法で、第3者白血球輸血療法と夫単核球皮内免疫療法のふたつの方法があります。
また、最近では習慣性流産の原因として抗リン脂質抗体が注目されています。以前よりSLEなど自己免疫疾患患者は流産しやすいことが知られていましたが、はっきりした疾病を有していなくても自己抗体、中でも抗リン脂質抗体を保有していると流産しやすいといわれるようになりました。その治療としてブルトニンとアスピリンの併用が試みられています。
※藤井知行・他:習慣性流産に対する考え方と治療方針、産婦人科治療